ケース6「食べる男 - おそばにゴ○○リが!代金を払う必要は?」
師走である。
師走といえば大晦日。
大晦日といえば年越しそば。
年越しそばは、江戸時代から定着した食習慣とされ、今も大晦日の風物詩である。
その年越しそばの由来には諸説ある。
・「そばは長く伸びるので、延命長寿や身代が細く長くのびるように願うため」とする説。
・「そばは切れやすいことから1年の労苦や災難をきれいさっぱり切り捨てる」という説。
・「金銀細工師が四方に散った金銀粉をそば粉で練った塊で寄せ集めたので、金運の縁起」とする説。
・「そばは風雨にあたって倒れても陽がさせばすぐに起きるので、捲土重来を期して食べる」という説。
・「商家の習慣」とする説。
・・・その他、諸説あるがいまだ定説はない。
筆者も大晦日は年越しそば。
そば(もりそば)と人肌の熱燗の相性は絶妙である。
これに板わさがあれば言うことなし。
ご機嫌である。
テレビは格闘技が好きだが、チャンネル権を奪われ、紅白歌合戦。
まさに大晦日の典型的風物詩。。
食習慣にこだわる甲野太郎君も大晦日は年越しそば。
手料理は面倒として出前を頼む。
蕎麦屋というと年一番のかきいれどき。
たくさんの出前注文で上を下へのてんやわんやの大忙し。
猫の手を借りたいとはこのことである。
待つこと数時間・・・ようやく、太郎君の下に出前が届いた。
空腹に耐えかねていた太郎君は燗をつけるや否や、そばに喰らいついた。
太郎君の好物は天ぷらそばである。
そばを食べ進むうちに、太郎君は、ありえないものを目にすることになる。
「そんな。ばかな。まさか・・・」
ガクガク((((;゚Д゚)))ブルブル
器には、ゴ○○リが入っていたのである!
太郎君が怒り心頭になったのは言うまでもない。
後日、出前を下げに来た店員に苦情を言ったが、店員は悪びれる風でもなく、心のこもらない謝罪を述べ、こともあろうに代金を請求してきたのである。
気の弱い太郎君は、予想だにしない店員の対応に困惑し、代金を支払うのか思案に暮れてしまった。
太郎君は、出前を注文し、そばが配達された以上、代金の支払いに応じねばならないのか?
太郎君は代金の請求に応じる必要がないのは明らかであるが、法律的にはどのような説明になるのか。
注文したそばにゴ○○リが入っていたということは、債務の本旨に従った履行とはいえず不完全履行(民法415条)となり、完全な物を請求をするか契約を解除することができる(民法541条)ことになる。
即ち、太郎君と蕎麦屋の間には異物の混入していない食するに値するそばを提供する契約が(これも一種の契約である。)締結されており、蕎麦屋はこの義務に違反したのであるから未だ債務は履行されていない。
太郎君は、新たに異物の混入していないそばを注文して代金を支払うか、契約を解除して代金を支払わなければよいのである。
太郎君にとっては、年越しそばの由来は、1年の労苦や災難をきれいさっぱり切り捨てるという説が当てはまることは言うまでもない。
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