会社には、労働者の生命・健康に対する危害の発生を防止するよう努める義務(安全配慮義務)があります。
したがって、会社としては、職場における感染リスクの程度や業務の性質等に応じて、マスクの着用、消毒液の設置、職場の換気などの適切な感染防止措置を講じる必要があります。
また、すべての職場で導入可能とは限りませんが、テレワークの導入や時差出勤なども検討対象になります。
職場のどのような点に感染リスクを感じるか、リスク低減のためどのような工夫ができるかといった点は、むしろ現場で働いている労働者のほうが具体的なアイデアを出せることもあります。
対策を使用者任せにするのではなく、労働者の側からも具体的な提案をすることが望ましいです。
労働者側の意見を会社の対策に反映させる方法としては、衛生委員会や団体交渉があります。
衛生委員会とは、使用者と労働者の代表が参加して、職場衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関することについて議論をする組織です。
常時50人以上の労働者を使用する事業場においては、その設置が義務づけられ(労働安全衛生法18条1項)、事業者は衛生委員会を月に1回以上は開かなければなりません(労働安全衛生規則23条1項)。
また、衛生委員会の議事録は労働者に公開することになっています(同23条3項)。
また、労働組合がある職場では、団体交渉で労働者側の意見を伝え、感染防止措置について使用者と協議をすることが有効です。
このような団体交渉の申入れがあった場合、使用者は誠実に団体交渉に応じることが法律で義務づけられています。
会社内に労働組合がない場合でも、個人で加入できる外部のユニオンに加入し、一緒に交渉する方法があります。
埼玉県内で個人加入ができるユニオンには以下のものがあります。