ケース4 「アベノミクスの労働政策 - 限定正社員制度のおハナシ」
現在、安倍首相は、「アベノミクス」「三本の矢」などと銘打って、経済政策を推し進めようとし、パフォーマンス的にではありますが、労働者の賃上げをするよう財界に要求しました。
(財界は及び腰どころか、何よりも雇用の確保と安定が最優先で「ベースアップ(ベア)実施の余地なし」と米倉会長が講演で強調する等、全く効果なし。)
その一方で、これまでの規制を緩める政策も議論されており、
(1)限定正社員制度の導入
(2)裁量労働制等の拡大
は特に問題です。
(1)の限定正社員とは、「職種や勤務地・勤務時間等を限定した正社員」で、これは、転勤できない女性労働者などに正社員登用の道を開くものと説明されていますが、実際には多くの大企業において、勤務地等を限定した正社員制度というものは既に存在してます。
ではなぜ、わざわざ改めて法律で定める必要があるのでしょうか?
それは、現在経済政策として議論されている限定正社員制度の本質というのが、正社員の賃金を下げ、かつ正社員を『解雇しやすい』ものにするという、正社員登用の拡大どころか、現役正社員の将来の道をも閉ざしかねない制度を作るためだからなのです。
例えば、限定した勤務場所を会社の方針で閉鎖なりした場合には、閉鎖のみを理由にして当該労働者を解雇することができるようになり、企業(財界)にとっては、今まで以上に自分達に都合良く、人減らし&人件費削減ができる状況を簡単に作り出せるようになる訳です。
また財界は、将来的には、従来型の正社員が1割、限定正社員が8割、非正規社員が1割となる労働者バランスを目標に掲げていますが、非正規社員を減らして正社員登用を増やしたように見せかけて、実際には従来の正社員を、解雇しやすく、今までよりも賃金を抑えた「ほぼ非正規社員」ぽい正社員にして体裁を整えたいだけであり、財界は非正規雇用の問題解決を本気でやろうとは、これっぽっちも考えていない事は明白です。
また、残り1割となる従来型の正社員に対しても(2)の裁量労働制などの拡大により、残業代を払わずに、今まで以上に労働者をこき使う気マンマンといった企業側の思惑が見て取れて、非常にうんざりします。
「アベノミクス」の労働政策、これでは私たちの生活が良くなるはずはありませんね・・・。
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