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コラム

弁護士 金子直樹の労働問題コラム

ケース1 「働く男 - 管理職、残業代は一切もらえない?」

昨年、いわゆる「名ばかり管理職」に対する残業代の問題が表面化されました。
今回のコラムでは、この残業代の問題について見てみましょう。

<残業代~私は『名ばかり管理職?』>

Aさんは24時間営業の某飲食チェーン店のチーフです。 店長と共にバイトのシフト管理などを行い、チーフ手当をもらっていましたが、残業代は一切もらっていませんでした。

会社からは、

「管理職だから残業代はでないよ。」

と言われています。

Aさんは一切残業代がもらえないのでしょうか?

(´・ω・`)ショボーン

回答

いわゆる「残業代」には、

(1)時間外労働
(2)休日労働
(3)深夜労働

に対する割増賃金があります(労働基準法37条)。

(1)は一日8時間、一週40時間を超えた労働時間に対して25%増しの賃金を、
(2)はいわゆる「休日手当」で、原則週1日の休日に働かせた場合には、35%増しの賃金を、
(3)はいわゆる「深夜手当」で、午後10時から午前5時までに働かせた場合には、25%増しの賃金を

支払わなければならないとされています。

(3)は、残業の有無にかかわらずその時間働いただけで支給しなければなりませんので「残業代」という表現は適切でないかもしれません。

このように法律では超過労働時間等に対する割増賃金の支払いを義務付けています。

 

なお、これはあくまでも法律上の最低限の義務ですので、就業規則等で、一日の所定労働時間を超えたものには全て残業代を支払う等と規定されていれば、それに従った残業代を請求できます。

さて、表題の「名ばかり管理職」ですが、企業側が「管理職は残業代が出ない」と主張しているのは、いわゆる「管理監督者」には上記超過労働等に関する規定が適用されないとする規定(労基法41条第2号)があるためです。

ここで注意しなければならないのは、企業の定めた課長、店長等のいわゆる「管理職」と法律上の「管理監督者」とは必ずしも一致しないということです。

法律は、これら規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない、重要な職務と責任を有し、現実の勤務態様も労働時間等の規制になじまないような立場にあって、労働者の保護に欠けることがない場合に限って規制の範囲外としたのです。

従って、従業員の採用・解雇権限の有無、労働時間等についての裁量の有無、手当等の優遇措置の有無、賃金総額等を総合的に判断して、労働者の保護に欠けることがない場合に限って「管理監督者」として上記残業代を支払わなくてよいとされているのです(厚生労働省平成20年基発第909001号参照)。

また、「深夜手当」は、「管理監督者」であっても支払わなければなりません。

 

Aさんは、チーフであっても労働時間の裁量等がなければ、「名ばかり管理職」として「管理監督者」に当たらず残業代をもらえる可能性が高いといえるでしょう。

ヒャッ━ヽ(゚∀゚*)ノ━ホォゥ!!!

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