【前文編①/前文編②】
いずみちゃん 遅くなってしまったけど,今年も憲法の学習,頑張りましょうね。
ツトムくん 今年も頑張ろう。まずは,前回の前文の続きからだよ。
これは人類普遍の原理であり,この憲法は,かかる原理に基づくものである。
われらは,これに反する一切の憲法,法令及び詔勅を排除する。
いずみちゃん 「人類普遍の原理」???
いったい何が,人類普遍の原理なの。
ツトムくん そうだね。これだけでは何が「人類普遍の原理」なのか分からないよね。
前回話したとおり,国民が主権者であり,その代表者である議員が,国民の福利(利益)にかなうように具体的な政策や法案を作成する。そのことで国民の権利(人権)を守り・充実させるということが「人類普遍の原理」であるといっているんだよ。
このような考え方は,フランス人権宣言やアメリカの独立宣言に由来していて,今から230年も前から唱えられている考えなんだよ。
いずみちゃん 『フランス人権宣言』や『アメリカの独立宣言』!!
そんな考え方が基になっているんだ。すごいね。
ツトムくん そして日本国憲法は,この「人類普遍の原理」に基づいて作られているのだから,このような考えに反する独裁制度や人権を抑圧するような政治,平和を壊し戦争をするような国にすることは決して認めないと高らかに宣言しているんだ。だから,日本国憲法が制定された段階で,陸海軍は解体され,貴族制度も廃止,悪名高い特高警察や治安維持法もなくなり,これら以外でも国民の表現の自由を制約していた法律や教育勅語が廃止される等,日本国内の制度は大転換をとげることになったんだ。
しかし,現在,この日本国憲法の崇高な理想も危機に瀕しているんだよ。
いずみちゃん 安倍政権のことだよね。わたしも不安でしょうがないよ~。
ツトムくん そうなんだ。昨年12月10日には,治安維持法の復活かと思うような秘密保護法が施行され,さらに,今年は,集団的自衛権の行使を認める法律を制定しようとするなど,日本国憲法が目指した社会が,戦前のような社会へと転がり落ちてしまうのではないかと心配でたまらないんだよ。
いずみちゃん何で,こんなことがまかり通るんだろうね。日本国民は,本当に戦前のような社会になることを望んでいるのかな。日本国憲法のすばらしさを知れば,みんな日本国憲法を変えようなんて思わないよね。
ツトムくん 恋人のありがたさを感じるのは失恋したとき(空気のありがたさを感じるのは空気がなくなったときという例の方が適切でしょうが,あえて)。当たり前にあると思っていたものがなくなってしまったとき,私たちは初めてそのありがたさを痛感するんだよ。
でも,日本国憲法が実現してくれた平和や権利,これがなくなって初めて日本国憲法の存在をありがたかったと思っても,もう手遅れなんだ。
いずみちゃん
そうならないように,社会の動きに目を光らせ,悪いことは悪い,許せないことは許せないと,常に声をあげていかなかいけないね。
・・・次回から,いよいよ前文第2段落です。