11月の最後の3連休,京都に行ってきました。
今回のテーマは,ずばり紅葉。紅葉の名所を回ってきました。
(※本来3部構成だったものをまとめられてしまったので、長文になっております。)
この時期,「そうだ京都に行こう!!」となったらまずは交通手段の確保です。はじめはお金と時間の節約にと,夜行バスをいくつかあたってみるもすでに満席。さすが、秋の京都。慌てて新幹線の予約をし希望時間帯ではなかったものの,なんとか京都に昼過ぎ着の切符を確保できました。
宿泊先は,今年から京都に下宿している次男のところへ。昨年は,京都市内のホテルを確保できず,お隣滋賀県のホテルに宿泊することになったので、秋の京都に行ってみようと考えている方は交通手段と宿の予約をお早めに。
初日、まずは次男と定番の清水寺へ。そして次男をバイトに見送った後は、夜間ライトアップされている高台寺-圓得院(このお寺は,豊臣秀吉の妻である北政所が秀吉の菩提を弔った寺として有名です。池に映り込む紅葉,日中とは異なる「美」がそこにはありました。)に行きました。
いやー,実に混んでました。清水寺はいつも混んでますが,この時期は清水寺に向かう道自体,身動きができない状態でした。
混雑してはいましたが、まさに「燃えるような赤」の世界が広がり,歴史的建造物の寺院とのコラボは,この時期の京都ならではといえるでしょう。
写真は,清水寺の紅葉と高台寺の庭園のオブジェ及び池に映り込む紅葉です(写真写りは良くないのですが,実物は圧巻でした)。
2日目に行った京都国立博物館で開催している鳥獣戯画展ですが,実は来年のGW前後に東京でも開催されることになっているため行こうかどうか迷ったのですが,せっかくだからと思い行くことにしました。しかし,最終日前日ということもあり,9時30分前に着いたのですが,「はっきりしたことは言えませんが,おそらく3時間から4時間待ちです」とのアナウンスが。
ここで待ち続けるか他の名所を回るべきか逡巡しましたが,「来た以上は」と考え,長蛇の列の末尾に並ぶことに(暇つぶし用の本を持っていってよかった。)
鳥獣戯画は,甲乙丙丁と4巻あるのですが,時期によって各巻の一部ずつが展示されているようで,今回は,教科書にも載っていて最も有名なあの蛙とウサギが相撲を取っている場面が展示されており,長時間
並んだ甲斐があったというものです。
その後,三十三間堂(写真右),養源院,夜は,まさに紅葉の名所として有名な永観堂に。実は,昨年の日中にも行ったことがありますが、夜間の観賞はできませんでした。ですから今年は是非にと考え行ってみました。 言葉は悪いのですが,ライトアップされた紅葉は,「火事」か,と思わせるほどの紅さでした。池の周りは幻想的な風景で,ここも長時間並ぶのも仕方ないなと思わせる見事さです。
そういえば,2日目の夜,気になる会話を聞きました。
学生とおぼしき男性3名が,「京都って,伝統の街なのに,なんで革新政党とか民主党が強いんだろう?」「伝統があるってことは=保守なんじゃないの?」。
確かなことは分かりませんが,1200年以上,伝統を引く継ぐってことは,きっと守るだけでは駄目なのではないでしょうか?
古くは,仏教勢力から距離を置くために奈良(平城京)から京都(長岡京・平安京)に遷都したのであり,そこには当時の「革新」があったはずです。近世でも,幕末の京都では異人さん(外国人)が来ることに拒否感が大きかったといいますが,明治当初,天皇が東京に行ってしまい政治の中心という立場を失った京都の町衆は,積極的に外国人を招くために京都博覧会を開催したりしています。
良いものは積極的に取り入れる,そのことで常に魅力を維持する,これこそ「伝統の街」であり続ける秘訣なのではないでしょうか。私たちも,守るべきものは守りながらも,決して旧弊にとらわれることなく,進取の精神を持ち続けることの大切さ,ちょっと考えさせられました。
二男と遅い夕食。すると,二男が,「明日,俺,中間テストがあるから,父ちゃんは午前中どうしてる?」との驚くべき発言が。
3日目の午前中は,父ちゃん一人旅です・・・
二男とは1時頃に京都駅で待ち合わせることにして出発。大徳寺方面に行くか東福寺方面に行くか,前夜迷いましたが,1時に間に合わせるということで,ここは東福寺方面に。9時過ぎに,その名もズバリ「東福寺」という駅を降りると,すでに人,人,人。駅には臨時の降り口まで設けられていました。
ここでは日本人の不思議な習性を目にすることができました。災害時でも礼儀正しく振る舞う日本人は世界的に有名ですが,観光地の写真だけはそうはいかないようです。パンフレットにも出てくる風景を前にすると,警備員の「ここでは写真撮影はできません。後ろの人の邪魔になりますので,立ち止まらず進んでください。」のアナウンスもむなしく,皆がただただ写真を撮っていました。かくいう私もその一人です。「赤信号,みんなでわたれば怖くない。」ということなのでしょうか。
東福寺の紅葉は,そのまた昔は桜だったそうです。しかし,桜の季節になると,修行僧が桜に目を奪われ修行が疎かになるということで,桜は全て伐採し,紅葉に植え替えたとのこと。でも,この紅葉だと,結局,目を奪われというのは同じなのではないかと思ってしまいます。
また,京都の紅葉自体,温暖化の影響で,年々遅くなっているという話も聞きました。確かに真っ赤なのですが,一部,「もう少しかな。」と思える色合いの紅葉もあります。もしかすると12月初旬が,紅葉の「旬」なのかもしれません。
京都駅で二男と合流した後は,一路真如堂へ。
バスの車中,試験結果について聞くと,何とかなったということで安心しました。
真如堂も紅葉の名所となっていますが,ここでは説明をしてくれていた方の軽妙な語りが興味深く,後方に見える東山を借景として,「涅槃図」におけるお釈迦様の寝姿を彷彿させるように庭園の石を配置しているとか,三井家の菩提寺でもあり,今でも毎年,三井グループの社長さんたちや新入社員たちが訪れているということなど,「へー」と思わせる内容でした。
真如堂を出ると,すぐ近くに,幕末に会津藩が本陣を置いた金戒光明寺や吉田神社があり行きたかったのですが,予約してある新幹線の時間もあり,残念ながらまた次回ということになりました。
それにもかかわらず,バス停までの帰路に迷い,さらに京都駅行きのバスは満員で乗れず,地下鉄の駅にアクセスできそうなバスに乗ったのですが,降りるバス停を間違え,けっこう焦りました。
何とか京都駅に到着した後は,お土産に漬け物と生八つ橋を買い,二男には,年末帰省のための夜行バスを早めに予約するようにとアドバイスをして,ようやく新幹線に。新幹線乗り場も混雑しており,最後まで人,人,人の京都でした。
次の京都は,今年行きそびれた醍醐寺で花見だ-。
帰宅した後,とあるニュース番組を見ていたら,その日に行った東福寺,3万人もの人が訪れたということで,あの混雑も納得と一人うなずきました。
まだまだ名所はたくさんあるので,「満足」とまではいきませんが,今後の楽しみが残ったということでよしとしましょう。
(弁護士 青木努)