連日,ソチオリンピックで日本人選手の活躍が耳に入ってきますね。
被災地出身のフィギュアスケート羽生選手の金メダルや,スキージャンプのレジェンド葛西選手が41歳での銀メダル獲得など嬉しいニュースが次々と飛び込んできています。
そんな中,とても素敵なエピソードが報道されていましたので,ご紹介をしたいと思います。
クロスカントリーというスキー競技で,ロシアの選手が競技中に転倒してスキー板を折ってしまうというアクシデントが起きました。
ロシア選手は必死に起き上がって走ろうとするのですが,スキー板が折れてしまいまともな状態でないため,すぐに転んでしまいます。これは見ていられない,完走なんて無理かもという状況のなか,コースの外から一人の男性がスキー板を持って駆け寄って来ました。その男性は,ロシア選手のスキー板を外してあげて,自分が持ってきたスキー板を装着してあげたのです。
その男性が誰かというと,ロシアとは何の関係もないカナダのナショナルコーチでした。アマチュアの祭典オリンピックならではの素晴らしい対応だと感心していましたが,この話には続きがあります。
実は,7~8年前の大会で,カナダの女子選手が同じクロスカントリーで先頭を走っていたときに,アクシデント発生し,スキーのストックが一本折れてしまったのでした。カナダ選手がみるみるうちに順位を下げて4位になったところで,コース脇から,一人の人間が駆け寄りストックを彼女に手渡したのです。
この人はノルウェーのコーチであり,カナダとは関係なかったどころか,この時ノルウェー選手がメダル圏内にいたのです。それでも,ストックを差し出し,結果としては,カナダ人女性の銀メダルにつながりました。ちなみに,ノルウェー選手は4位とメダルを取ることはできませんでした。
このノルウェーコーチの選択は,ノルウェーの選手やファンからすると,微妙な判断だったと批判されるかもしれません。しかし,オリンピック精神に乗っ取った,スポーツマンとしてはとても素敵な判断だったと個人的には感じました。
この素敵な対応は,当時,多くの人の共感を呼び,この対応がカナダ人選手団らの感謝の気持ちに繋がりました。今回のカナダ人コーチの行動は,7~8年前に受けた恩に報いる行動で,感謝のタスキ,オリンピック精神バトンがノルウェーからカナダ,カナダからロシアと受け継がれたのです。
日本のことわざに『情けは人の為ならず』というものがありますね。
この言葉の意味は誤解されることが多いようです。具体的には,情けをかけることはその人のためにならないからすべきでないと誤解されていることがあります。しかし,その真意は,情けは巡り巡って自分にも返ってくるのだから,人には親切にしておいたほうが良いというものです。
このオリンピックのちょっといい話,私たちも日ごろから心がけたいですね。
困っている方に対して,出来る限りの行動をすることが,感謝のタスキ,親切のバトンで社会に拡がっていく,そんな一助になれるよう私たちも肝に銘じて仕事をしていきたいと思いました。
(弁護士 久保田和志)