平成27年6月3日、衆議院議員会館で、「司法修習生への給費の実現と充実した司法修習に関する院内意見交換会」が開催されました。そこでは、多数の国会議員の方にご参加いただき、修習生への給費の実現に向けた熱いメッセージをいただきました。
法曹(裁判官、検察官、弁護士)になるためには、司法試験に合格したあと、“司法修習”と言われる研修を1年間受け、修習の卒業試験に合格する必要があります。
“司法修習”とは、司法の担い手である法曹養成に必須の課程として国家によって運営されている制度で、法曹としての実務に必要な能力を習得することを目的としているものです。そして、修習生には修習に専念する義務が課せられています。(裁判所法67条2項)。
修習生には、これまではずっと、修習期間中の給与が支払われていました。
けれども、4年前から、制度が変更され、給与が支払われなくなり、代わりに生活をまかなうためのお金について貸与を受けることができる、ということになりました。
多くの修習生が、修習期間中の生活費や交通費をまかなうために、借金をしています。
今、法曹を目指す人がどんどん減っています。
その背景の一つには、法曹になるまでにかかるお金の負担があまりにも大きすぎること、があります。お金持ちしか法曹になれないとしたらどうでしょうか。本当に困って弁護士に相談に行ったときにその弁護士は親身に話を聞いてくれるでしょうか。裁判官は救いを求めて裁判をする私たちの気持ちを理解してくれるでしょうか。親として、法曹にあこがれてなりたいと思う子どもたちに「お金がないから裁判官や検察官、弁護士にはなれないよ。諦めてね」と言えるでしょうか。
司法は、私たち国民の権利を守る最後の砦です。
その司法の担い手を育てるために、充実した司法修習を行い、きちんと必要な能力を身につけることができるようにするためにも、司法修習生への必要最低限の給費は不可欠です。
この秋の国会がヤマ場となります。
これからも引き続きご支援いただけますよう、お願いします。
ちなみに・・・今、子どもが学び育つには、とても多くのお金が必要とされています。
大学生で何らかの奨学金制度を利用している人は約50%(昼間)にもなります。
教育格差が広がらないよう、教育制度全体についての見直しも必要です・・・
埼玉奨学金ネットワークHP
(弁護士 宮西陽子)