いずみちゃん
いよいよ日本国憲法前文の第2段落に入るね。
日本国民は,恒久の平和を念願し,人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって,平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して,われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは,平和を維持し,専制と隷従,圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努める国際社会において,名誉ある地位を占めたいと思う。
ツトムくん どうだい?
難しい単語が並んでいて,読むのが嫌になってしまうかもしれないが,日本国憲法が世界に誇る平和主義について宣言しているんだよ。
いずみちゃん う~ん。難しいけれど 「平和を願い、平和を愛し、平和を維持しよう」という,思いは伝わったよ。
「二度と戦争は嫌だ」という,思いだよね。
ツトムくん そうなんだ。
明治時代以降,日本は,アジア,特に朝鮮半島及び中国大陸に軍事的侵攻をしてきたんだ。その帰結が,1945年の敗戦というわけだ。
この日本の軍事的侵攻の結果,国民はもちろんアジア全域の人々に対して多大な恐怖・損害を与えてしまった。この反省に基づいて,戦争,そしてその手段となる軍事力を捨てて,話し合いによる外交や国民同士の交流といった平和的手段で,平和を作り上げ,安全に,そして幸福に生きていけるようにしようと考えたんだ。
そして,この前文を具体化するものとして,この後勉強する9条が誕生したんだね。
いずみちゃん 二度と戦争で国民や世界の人たちを苦しめないと誓ったんだよね。
ツトムくん でも,憲法に書かれたからといって,それだけで平和が守られてきたわけではないんだよ。平和を求める国民の強い願いがあったからこそ,戦後70年間,日本は平和な国でいることができたというものなんだね。それでも,最近「戦争の足音」が少しずつ聞こえてきているんだよ。
戦後間もなく,アメリカから「再軍備」が求められ,それに応じて自衛隊ができ,そして1990年代にはPKOの名の下,初めて自衛隊が海外に派遣されてしまったんだ。
そして今,ついに事実上,自衛隊の海外派兵を無制限に認める「集団的自衛権の行使」が法律で定められようとしているんだ。
いずみちゃん 昨年7月1日の閣議決定のことだね。
本当にひどい話だよね。戦争するかしないかを閣議決定で決めてしまうなんて・・・。
70年も平和な日本を築いてきた国民の願いはどうなるの。
ツトムくん もともと9条において「軍隊」は持つことはできないんだ。事実上の「軍隊」と評価できる自衛隊について,政府は,「戦力」ではなく「実力」だからという,それこそ難解極まりない理屈をつけて正当化しているんだね。「千丈の堤も蟻の一穴から」ということわざが,これほど当てはまる例は少ないと思うよ。
もし,ここで「集団的自衛権の行使」を認めるといっても「限定的」だから仕方ないと許してしまえば,今回開けられてしまった「穴」は際限なく拡大され,「無制限」になってしまうだろうね。
いずみちゃん そんなことになったら,大変だね。
日本の自衛隊があちこちで戦争をすることになるよ。
ツトムくん 日本は,これまで軍事力整備に無駄な金を使わず,経済の発展と国民の福祉のために予算を使い,平和な社会を維持してきたんだよ。
そして,世界各国に経済援助を行うことで,世界から貧困がなくなり,全世界の国民が平和の中で幸せに暮らすことができるよう働きかけてきたんだ。だからこそ,世界中から,軍隊を持たず,戦争をしない日本に対しては尊敬の念が示されてきたんだね。
いずみちゃん でも,これからは変わってしまうわけ?
国民の福祉のための予算を削って,軍事力整備にお金をたくさん使うようになるなんて許せないよ。戦争なんかしたらダメだよ。
だって,日本国憲法の前文には世界に誇る平和主義が宣言されているんでしょ。
絶対に守らなければいけないよね。
つづく