もっと知りたい!シリーズ
~SSS特集 弁護士山本政道編~
SSSとは…?
S(相談する前に)S(知っておきたい弁護士の)S(素顔)特集の略称です!
3人目は山本政道弁護士。
最年長ならではのおはなしが聞けました!
―弁護士を志したきっかけ
私が,東北大学の学生だった昭和36~38年の間,松川事件が最高裁にかかっていました。
私は,経済学部でしたが,この松川事件に対して,「無実の人が死刑になろうとしている!」という強い憤りを感じ,大学の松川事件研究会に所属しました。そして,その裁判の経緯などを目の当たりにし,結果は無罪判決。無罪を勝ち取った弁護士に憧れ,自分も刑事弁護に携わりたい,そう思ったのが弁護士を志した第一歩だったと思っています。
けれども,それから弁護士になるまでには紆余曲折ありました。当時私は経済学部だったので,司法試験に合格するには浪人をしなければなりませんでした。当時の経済状況がそれを許しませんでしたので,弁護士の道への希望は封印し,大学卒業後は会社勤めをせざるを得ませんでした。社会人となって7年間は,弁護士の「べ」の字も関係ない生活でした。しかし,30歳のとき,ある出来事を境に上司のいる環境で生きていくことは自分には合わないと感じ,弁護士を志すことを決心しました。それからは,アルバイトで収入を得ながら,司法試験の勉強をはじめました。(ちなみに,この間,アルバイトは5種類くらい経験しました。一番長かったのは,学習塾の講師でした。)勉強をはじめてから,7年ほどかかりましたが,司法試験に合格,37歳にして弁護士になりました。
※ 補 足
松川事件(まつかわじけん)とは,福島県の国鉄東北本線で,機関車が転覆,
機関車の乗務員3名が死亡した事件。現場検証の結果,転覆地点付近の線路 継目のボルト・ナットが緩められ,継ぎ目板が外されているのが確認された。 捜査当局はこの事件を,当時の大量人員整理に反対していた,東芝松川工場(現芝電機)労働組合と国鉄労働組合(国労)構成員の共同謀議による犯行と の見込みを付けて捜査を行い,結果的に両労組の構成員合計20名が逮捕, 起訴された。しかし,容疑者が逮捕されたものの,その後の裁判で全員が無 罪となり未解決事件となった。(2審で4人が死刑判決を受けていたが,昭 和36年に被告全員に無罪判決。昭和38年に最高裁は検察側による再上告 を棄却,被告全員の無罪が確定した。)下山事件,三鷹事件と並び,第二次 世界大戦後の「国鉄三大ミステリー事件」の一つといわれている。
―これまでで一番印象に残っている事件
結果としては差し止めはできませんでしたが,首都高速大宮線トンネル内の排気ガスを住宅街(大宮区北袋町)に吐き出すエントツをめぐる仮処分の事件が一番印象に残っていますね。最終的には,エントツに測定器を取り付けて排出を基準値以下に抑えることを条件に和解をしたので,勝利とはいえませんが,しかし,住民と一緒になって運動をつくっていく,というとても貴重な経験をさせてもらいました。このように地域に密着して,住民のニーズに応えていくということが,弁護士に求められていると感じました。
―力を入れて取り組んでいる事件(活動)
小田急の沿線騒音訴訟に関わっています。これも,前述した首都高速大宮線の事件と同様に,住民の方々と一緒に知恵を出し合い,活動しています。この2つの事件から,住民の方々が主体となって,運動と裁判を車の両輪のようにして活動していくことが大事だと感じています。
―弁護士にとって一番大切なもの
依頼人の身になって,何が一番良い解決なのかを考えること。
依頼人のそのままの願望・希望が,法的には通らないことも多い。法的に通用する道筋をつけてあげることが弁護士の役目なのだと思います。
最後は事務局に聞いてみた。
―事務局からみた山本弁護士のエピソードをこっそり教えてください!
山本先生といえば「熱い」「正義感が強い」人。相手が警察でも,その他強い団体でも,闘うとすごい人です。裁判の相手からも,「先生がこちらの代理人だったらこっちが勝てた」と実際に言われたことあり。バブル時代は,負けた相手方(地上げ屋)が,別件で今度は山本先生に依頼したいと言ってきたこともありました。(もちろん,お断りしましたが…)
山本先生が,お父さんに弁護士になりたいといった時,お父さんは弁護士は金持ちを弁護する職業で,高い報酬を要求するというイメージが強く,反対したそうです。しかし,後にお父さんは手弁当で地方の公害訴訟を引き受けていた東京の近藤忠孝先生のことを知り,弁護士にもこういう先生がいるということが分かり,弁護士になることを反対したことを謝ったと聞きました。山本先生が弁護士になろうとした頃は,このような弁護士は少なかったのです。
もっともっと知りたい!という方は、山本弁護士の関連ブログをご覧ください!
URL https://saitamachuuou.gr.jp/blog/staff/yamamotoblog/
(SSS担当)