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「限定」という言葉のマジック

2014年05月08日 集団的自衛権行使容認の閣議決定に反対です!, スタッフブログ, 弁護士 青木努

「限定」って言葉は不思議ですよね。

例えば,「限定10名様限り」とか「本日限定」とか宣伝されると,
ここで買わなければ(しなければ)損かなって気になってしまいます。

でも,よくよく見てみると,「本当に限定になっている?」という場合もあります。
どう見ても10名に限っているわけでもないし,翌週にもセールをやっているような場合も見受けられます。

この不思議な魅力を持っている「限定」という言葉が,今,政治の世界でも使われています。
「限定的集団的自衛権」や集団的自衛権の「限定容認論」や「限定正社員」などです。

「限定的集団的自衛権」や集団的自衛権の「限定容認論」とは,全面的に集団的自衛権の行使を認めるのではなく,日本に重大な影響を与えそうな事態が発生したときだけ,集団的自衛権の行使を認めるという考え方です。

 
・・・本当に「限定」になっているのでしょうか?

そもそも憲法9条で,日本は戦力を持つことができないということになっています。
憲法9条自体が「限定」の要素となっているのです。

しかし,実際には,自衛隊という組織を日本は持っているではありませんか。

このことは「限定」を設けたはずなのに,
その「限定」は何の限定にもなっていないことを証明しています。
その後も同様です。

現在の政府統一見解は,
「個別的自衛権の行使は認められるが,集団的自衛権の行使は認められない」というものです。

これも自衛隊の活動について「限定」をつけていたということになりますが,
今まさにこの「限定」が突破されようとしています。

このように,集団的自衛権の行使を「限定」的にでも認めてしまえば,
いずれはこの「限定」も限定にならなくなることを示しているのではないでしょうか。

「限定」していれば大丈夫なんじゃないか。歯止めになるんじゃないか。

このような考え方が間違いであることを歴史も教えてくれます。

かつての日本軍は,中国大陸において,戦線の不拡大方針がとられ,侵攻の範囲を「限定」されても,
何らかの理由を付けて戦線を拡大し,泥沼の戦争へと日本を引っ張っていってしまいました。

「千丈の堤も蟻の一穴」という諺もあります。
長大な堤防も蟻など小さな虫が開ける穴から崩れてしまうことがあるという諺です。

「限定」だから大丈夫などと安易に考えていると,そのことが蟻の一穴となって,
歯止めが利かないことになってしまう可能性があること,私たちは,もう一度思い出す必要があります。

下記のリンクは「明日の自由を守る若手弁護士の会」が作成したリーフレットを動画にしたもので,
集団的自衛権について非常にわかりやすく説明されています。
お時間あるときに是非ご覧下さい。

2分でわかる!集団的自衛権「ほぼAtoZ」

(弁護士 青木努

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詳しくは、「相談案内」のページをご覧ください。

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