2018年6月18日,東京高等裁判所において判決が下されました。
高裁判決は,内容において1審を大きく前進させるものでした。
さいたま市の違法性を再び認める「勝訴」判決です。
高裁判決は,社会教育施設である公民館が,住民が学び,生活や文化を豊かにする「公的な場」であるとしたうえで,次のようにさいたま市の違法を認めました。
「公民館の職員は,…住民の公民館の利用を通じた社会教育活動の実現につき,これを公正に取り扱うべき職務上の義務を負うものというべきである。そして,公民館の職員が,住民の公民館の利用を通じた社会教育活動の一環としてなされた学習成果の発表行為につき,その思想,信条を理由に他の住民と比較して不公正な取扱いをしたときは,その学習成果を発表した住民の思想の自由,表現の自由が憲法上保障された基本的人権であり,最大限尊重されるべきものであることからすると,当該住民の人格的利益を侵害するものとして国家賠償法上違法となるというべきである。」
「三橋公民館は,…それまでの他の秀句の取扱いと異なり,その内容に着目し,…本件俳句には,第1審原告が憲法9条は集団的自衛権の行使を許容するものと解釈すべきではないという思想,信条を有していることが表れていると解し,これを本件たよりに掲載すると三橋公民館の公平性・中立性を害するとの理由で掲載を拒否したのであるから,…第1審原告の公民館の利用を通じた社会教育活動の一環としてなされた学習成果の発表行為につき,第1審原告の思想,信条を理由に,これまでの他の住民が著作した秀句の取扱いと異なる不公正な取扱いをしたものであり,これによって,第1審原告の上記人格的利益を違法に侵害したというべきである。」
原告,市民応援団,研究者,弁護団が四位一体で継続してきたことが結実した判決といえます。
各地での行政からの介入に対し,市民の自由な活動を守るためのヒントが散りばめられています。
6月9日のさいたまでの報告集会で,みなさんと高裁判決の意義を確認できればと思います。
この素晴らしい高裁判決を生かし,さいたま市の教育行政の改善や,
九条俳句の公民館だよりへの掲載を求め,引き続きみなさんと共に歩んで参ります。
弁護団事務局次長 石川智士