2月18日の「働くなかまの春を呼ぶつどい」という労働に関するイベントでコメンテーターを務めました。
この集会は、埼玉県内の様々な職場で働く方々が集まって、
それぞれの課題や実践例などを報告し合うものです。
私は、弁護士の立場から、報告に含まれる法的問題を解説してきました。
以下、集会で報告された事例を簡単に紹介します。
まず、有期雇用契約で雇止めに遭った方が、個人で加入することができる労働組合に加入し、
会社との交渉で早期に雇止めを撤回させた事例が報告されました。
まもなく、5年を超えて有期雇用契約を更新した労働者が、期間の定めのない雇用に転換するよう
求めることができるようになりますが、その直前での雇止めの事例が増えています。
その中には雇止めが無効と判断されるケースも相当程度含まれていると考えられますので、
早期に相談につなげ、対応していくことが重要であることを確認しました。
また、川口市で、学校教員の長時間労働の防止を目的として、労働安全衛生法に基づく衛生委員会や産業医の配置、ICカードによる勤怠管理を導入した事例が報告されました。
連合総研の2016年の調査では、小学校教諭の72%、中学校教諭の86%が過労死ラインを超えて長時間労働をしています。
この状況を改善するには、根本的には教員の大幅増員が必要ですが、すぐにできる取り組みとしては、
労働安全衛生法に基づく対応を当局に求めていくことが大切です。
労働安全衛生法については、厚労省が規則を改正して
使用者の労働時間管理義務を明文化する改正を進めており、この点にも着目する必要があります。
このほか、職場内のパワハラを職場の労働組合で対応し改善させた事例、
学童などの公共サービスが民間委託される場合に、その公共サービスで働いている人々の労働条件を
どのように守るかといった問題が議論されました。
今回の集会では、働くなかまが協力して、自分たちで職場の労働環境を改善させた事例が多く報告されました。
みんなで力を合わせれば働き方を変えることができるということを、その法的根拠とともに確認することができた集会でした。
(弁護士 小内克浩)