本年11月1日から、過労死等防止対策推進法が施行されました。
これは、過労死・過労自殺の防止のため施策を行うことの責任を国・行政機関に課し、
国際語ともなっている過労死をなくそうとする法律です。
事業主に対しては、過労死等の防止に向けた具体的な措置を採るように求めるものでないなど、
不十分な内容に止まっていますが、過労死遺族の会などが中心となって勝ち取った画期的な法律です。
すでに厚労省の労働基準局では、「長時間労働削減推進本部」が発足し、
長時間労働の削減に向けた取り組みが始まっています。
厚労省の発表では、「過労死」に当たる脳・心臓疾患の労災支給決定者数は2年連続で増加中です。
「自殺」による労災支給決定者数(自殺未遂の場合も含む)は過去最高となっており、
労災申請者数は非常に多い状況が続いています。
私も、担当した事件では、きわめて厳しい長時間残業・休日なしの連続勤務を強いられた結果、
亡くなってしまったり、重い障害を負ってしまった方を目にしました。
働くことで死んでしまうことなど、諸外国では考えられず、
過労死が国際語となっていることは、恥ずべきことではないでしょうか。
過労死等防止対策推進法では、毎年11月を過労死等防止対策推進月間としています。
埼玉過労死弁護団でも、定例のホットライン活動を始めました。
今後も「残業代ゼロ・過労死促進法案」など、更なる長時間労働を生みかねない動きに反対する運動を展開していくと共に、過労死を事前に防いだり、悲しい過労死事件の責任をきちっと企業に追及していくためにホットライン活動などを積極的に行っていきたいと思います。
(弁護士 金子直樹)