働き盛りの年齢で、持病や障害が無い場合であっても、
職を失うなどによって稼動することができず、収入が得られなくなり、
現実に生活が困窮してしまうということは、誰にでも起こりうる問題です。
そのような場合には、生活保護の申請を検討すべきです。
よく「稼動能力がある場合には、生活保護を受けられない」
ということが言われますが、正確には誤りです。
確かに、生活保護法4条1項は、生活保護を受ける条件として、
「資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用すること」
を要求しています(補足性の原則)。
しかし、いくら稼動能力自体はあったとしても、
それを現実に活用する環境がない場合には生活は少しも楽にはなりません。
必死に就職活動を行っていても、中々就職先が決まらないということはよくあることです。
そのように、稼動能力自体はあっても、それを現実に活用する環境がない場合には、
補足性の原則に反しないと考えられています。
従って、役所が、稼動能力があることのみをもって生活保護申請を受け付けないのは、
明らかに違法な対応です。
稼動能力があったとしても、現実に収入が低く、
就職活動等の収入を増やす努力をきちんと行っていれば、
生活保護が受けられるということをご理解ください。
(弁護士 増田悠作)