皆さんは,お店でお金を支払う時,どうやって支払いますか?
現金ですか?
それとも,クレジットカードですか?
では,インターネットなどで買い物をしたりはしますか?
そのときは,どうしますか?
インターネット通販などの遠隔地の取引(非対面取引)が増える中,お金の支払い方についても,銀行振込,代引き,クレジットカード,デビットカード,コンビニ決済,電子マネーなど,決済方法は多種多様になってきています。
最近では,仮想通貨などというのも利用されるようになってきています。
皆さんは,どんな決済方法を利用したことがあるでしょうか。
しかし,こういったキャッシュレス決済は,便利な面もありますが,使い方を間違えるとトラブルに巻き込まれたりすることもあります。
そのため,様々な法律で規制がされています。
クレジットカードについては,割賦販売法という法律が規制をしています。
そして,この割賦販売法が,平成28年に大きな改正がなされました。
クレジットカードの仕組みは,意外と複雑で,クレジットカードを発行している会社以外に,国際ブランドと言われる会社(VISAやMASTERなど)や加盟店を管理している会社など複数の会社が関与をしているものなのです。
そういった複数の会社が関与する中で,カード番号等の情報が漏洩したりしないように,また,悪質な販売店が,顧客を不当な勧誘をしてクレジット決済をさせないように,改正がなされました。
この改正は,消費者被害の防止・救済に役立つところもあります。
そこで,10月28日,消費生活相談の現場で,割賦販売法の改正を活用してもらうために,奈良県にて,消費生活相談員をされている方に向けて,「割賦販売法の改正」の講義をしてきました。
埼玉からは遠方でもある奈良県の皆さんから講師を依頼されることは光栄なことでもありますし,少しでも,多くの現場で法改正が活用されることを期待しています。
ところで,クレジットカード以外の決済方法は,どのような法律で規制されているかというと,電子マネーや仮想通貨は,資金決済法という法律です。銀行振込は,銀行法になります。
しかし,別々の法律で規制をしているのでは,統一的な運用ができません。
インターネット通販などのオンライン決済・モバイル決済に対応するため,多様化するキャッシュレス決済を統一的に考えようとする動きがあります。
最近では,新聞やニュースなどで,「FinTech(フィンテック)」という言葉を目・耳にすることもあるかもしれません。
奈良県で講師をした翌日の10月29日,大阪で「キャッシュレス決済と立法政策上の課題」というテーマで,消費者法学会第10回大会が開催されましたので参加してきました。
今は,1年,2年と,すさまじい速さで新しい制度や仕組みができたりしており,法の規制が追いついていないところがあります。
なかなか難しい問題もありますが,事業者側にとって便利な制度になりかねません。
しかし,事業者側の都合だけで法規制がなされたのでは,消費者にとっては一大事です。
消費者にとっても便利になることは,嬉しいことですが,消費者にとっては,安心・安全な決済方法,悪質商法に悪用されない決済方法,いざというときに頼れる事業者であって欲しいものです。
ところで,最近,台風が多いです。
この日も,最後まで参加はできず,途中で退席し,早めに大阪を後にしました。
あと30分,出発が遅れていたら,交通機関の大幅な遅延に巻き込まれていたかもしれません。
最近,自然災害が続いておりますが,台風等のご被害に遭われた方々に謹んでお見舞い申し上げます。
(弁護士 松苗弘幸)