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イベント報告/5.25 過労死・過労自殺をなくし男女ともに働きやすい社会を目指して

2015年05月27日 お知らせ, スタッフブログ, 取り扱い事件, 弁護士 青木努, 弁護士 金子直樹, 事務局, イベント報告, 労働

過労死・過労自殺をなくし男女ともに働きやすい社会を目指して
             ~長時間労働を考える市民の集い

 

5月25日、当事務所の金子弁護士が主催側で参加している
「過労死・過労自殺をなくし男女ともに働きやすい社会を目指して~長時間労働を考える市民の集い」に
青木弁護士と事務局5名で参加しました。

 
埼玉労働局の監督課長からの報告、基調講演、
当事者の方からのインタビューなど密度の濃い2時間でした。

 
小さく産んで大きく育てる
現在政府は、「高度プロフェッショナル制度の導入」・「裁量労働制の大幅な拡大」を導入するべく国会に法案を提出しています。高度プロフェッショナル制度は、「一定の要件」を満たす人を対象に、8時間労働制、残業代ゼロなど、労働者保護の基本的ルールが適用されない働き方を導入しようとしています。

法案要綱には「成果で評価する」「成果で報酬を決める」などという内容は全く含まれておらず、単に労働基準法上の割増し賃金規定の適用を除外する制度を作ろうとしているのです。

割増賃金の支払い義務を使用者に課すことによって、間接的に長時間労働を抑制しているのですが、この適用が外れれば、長時間労働に歯止めがきかなくなり、過労死する人が増加するのではないかと懸念されています。

現在、「1年間に支払われることが確実に見込まれる賃金の額が、平均給与額の3倍を相当程度上回る」=「年収1075万円以上」かつ「高度の専門的知識、技術または経験を要する」とともに「業務に従事した時間と成果との関連性が強くない」といった対象業務とする、とされていますが、日本経団連は元々、より広い対象者(年収400万円超)を提案しており、今後法改正により対象者が拡大していく可能性も否定できません。

 

アメリカではオバマ大統領が既に制度の見直しを指示
日本弁護士連合会は、アメリカにて「ホワイトカラー・エグゼンプション」の実態把握のため調査員を派遣しました。世界初で導入したアメリカでも、残業代ゼロの対象者が拡大し、大きな社会問題となっているとのこと、アメリカではオバマ大統領が「規制が時代遅れのため、何百万人もの残業代や最低賃金の権利が保護されていない。」と述べて、制度を厳しく批判し、昨年(平成26年)3月に残業代支払い対象の労働者を増やすため、制度の見直しを労働長官に指示をしたそうです。

日本は2006年にアメリカより「ホワイトカラー・エグゼンプションを導入するように」言われたそうですが、今から9年前のこと。それなのに、昨今のアメリカの動きから後退するように、9年前にアメリカより指示されたことを、何とでも捉えられるような抽象的な言葉で導入しようとしています。

 

過酷な労働環境による過労死・過労自殺の増加
労働局の方の話からも、「労働時間の違反が過去5年連続で最多」であること、過労死については、「脳・心臓疾患の労災請求は全国で平成18・9年度および23年はピークの900件。現在は減少傾向にあるものの784件と高水準」「精神障害の請求件数は増加の一途をたどり、平成25年は過去最高の1400件台」となっているとの報告がありました。

時間外労働が100時間を超える(または2~6日月平均で月80時間を超えると)過労死や精神疾患につながる恐れがある」と話されていました。

にも関わらず、歯止めとなるはずの面接・罰則規定対象は、「100時間を超えた労働者」しか対象となりません。

「過労死等がなく、仕事と生活を調和させ、健康で充実して働き続けることのできる社会の実現に寄与することを目的とすること。」を趣旨とした「過労死等防止対策推進法」が施行されているにもかかわらずこの制度は何なのでしょう。

 

過労死によりご家族を亡くされた当事者の方からの話も戴きました。
深夜労働を続け、またいずれもサービス残業が横行している会社に勤めた方でした。ご家族はいずれも「即会社を辞めなさい」と言ってあげられなかったことを悔いていらっしゃいました。証拠が一通り揃っているにもかかわらず労災の認定がなかなか下りないことへのいらだちや、被害者の方にもかかわらず裁判所で「尋問」されなければならない状況の苦しさ等語られていました。

印象に残った言葉は以下です。

「携帯でも充電時間が必要。人間にも充電時間は必要です。」

 

年間休日が「5日」?!
政府の考える案が導入されてしまえば、『1日13時間の連続勤務を続けて、年に5日だけ休ませる』ことも可能になるのです。これは政府も否定していません。

今でも、「労働時間の違反が過去5年連続で最多」であり、「精神障害で労災申請された方が増加の一途をたどって」います。退行する制度を作る前に、きっちり休めて、しっかり働ける環境作りをまず作って戴けないのでしょうか。「監督」ができていないのに労働者の意見を無視してこのまま推し進めるのでしょうか。

 

「労働者のニーズに応える」としながら、労働者の命と健康を犠牲にして、経済成長を達成しようとする政府を、なんとしても阻止しなければなりません。

他人ごとと捉えず、労働者として、「反対」の声を挙げ、過労死を促進させる「高度プロフェッショナル制度の導入」、「裁量労働制の大幅な拡大」を阻止しましょう!

(事務局 J)

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