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「限定」という言葉のマジック  その2

2014年05月09日 スタッフブログ, 弁護士 青木努

stopアベノ雇用昨日に続き「限定」って言葉についてです。

「限定正社員」という言葉を知っていますか?

というのも,テレビで「限定正社員」についてのインタビューを見たところ,意外と知られていないんですよね。
そして,大きく誤解している人もいました。
前回例えで使った「限定10名様限り」とか「本日限定」などの宣伝と同じニュアンスで,何となくいいことのように感じている人もいました。

要するに,正社員の中で「限定」されている人=選ばれた人ということで,いわばエリートのことと誤解しているのです。

「STOP!アベノ雇用破壊」(PDF)
自由法曹団作成リーフレット

 

現在,議論されている「限定正社員」とは,このエリート社員とは反対に,仕事の内容や勤務地などが「限定」されている社員のことです。
一見すると,特殊技能を持っていたり,家庭の環境などのために転勤することができない人にとってはいい制度ではないかとも思ってしまいます。

しかし,「限定正社員」は,通常の正社員と同じ働き方をしているのに,勤務地が限定されていることを理由に給料が引き下げられたり,勤務している企業がある分野から撤退したり勤務している工場を閉鎖したりした場合には簡単に解雇されることになります。

すなわち,労働条件が切り下げられるわけです。

 

一度,「限定正社員」制度が導入されれば,現在,正社員として勤務している人たちも
「限定正社員」とされ,給料が引き下げられたり,簡単に解雇されてしまう危険性があります。

まさにエリート社員の正反対の制度ということになります。
このように書くと,非正規社員の方々から,それでも非正規よりも「限定」でも正社員の方がいいと反論されてしまうかもしれません。

確かに,そのような一面があることは否定しません。
ただし,全体的に見れば,現在の正社員が「限定正社員」となり勤務条件が引き下げられれば,
「限定正社員」と現在に非正規社員との間には何の違いもないということになり,

結局は全労働者の勤務条件が悪くなり,「限定正社員」にも成れない場合には,今よりも酷い労働条件となってしまうのです。

 

前回の「限定的集団的自衛権」や集団的自衛権の「限定容認論」の場合と同様,
「限定正社員」の場合における「限定」という言葉に騙されてはいけません。

(弁護士 青木努

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