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生活保護基準引下げ違憲訴訟

2015年02月26日 お知らせ, スタッフブログ, 取り扱い事件, 弁護士 石川智士, 住民運動・行政・公害

2月25日,生活保護基準引下げ違憲訴訟の第2回期日がさいたま地方裁判所で開かれました。

国は,生活保護の生活扶助基準を,2013年8月から3回にわたって段階的に引き下げることを決め,現に引下げを実施してきました。このことにより,生活扶助の受給額が平均6.5%,最大約10%減という過去に例を見ない大幅な引下げがなされることになります。

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しかし,この引下げは,何ら合理的な理由もなく,社会保障費の予算大幅削減という結論ありきで進められたものだと我々は考えています。
生活保護は,社会保障の最後のセーフティーネットであり,憲法25条で認められた生存権を保障するために必要不可欠な制度です。今回の引下げで,もともと「健康で文化的な最低限度の生活」を送ることができるかどうかギリギリのところで生活していた方々が,さらにその生活を脅かされることになってしまいました。

我々は,今回の引下げが憲法25条に反するものであると考え,訴訟を提起しました。
生活保護については,数年前より不正受給等の問題が取り沙汰され,生活保護受給者に対してバッシングが行われる状況が続いています。たしかに,不正受給は違法な行為であり,非難されるべきものです。

しかし,その一方で,不正受給等の問題は生活保護受給者のごく一部で存在するにすぎないにもかかわらず,そのような問題が,残念ながらある意味誇大に報道されてきてしまったのも事実だと思います。正当に生活保護を受給されるべき方々の実態が,うまく社会に伝わっていない現実もあります。

 

生活保護基準の引下げは,生活保護受給者のみにとどまる問題ではありません。様々な社会福祉制度や税制等が生活保護基準を前提に制度設計されているため,生活保護など関係ないと思われている方々の生活にも,広く影響しかねないのです。

大変ありがたいことに,今回の訴訟について,問題意識を同じくしてくださる方々による支援の輪が広がりつつあります。今回の裁判期日では,傍聴券を求めて224名の方が裁判所に並び,その後の報告集会では約250名の方々が参加してくださりました。いずれも,第1回目の期日を上回る人数です。さいたまの裁判所でここまで大規模になるのは珍しいことだそうです。

しかし,今回の引下げを見直させること,生活保護受給者への偏見をなくすこと,ひいては誰もが安心して暮らすことのできる社会をつくること,これらの実現のためには,より多くの方々のご支援が必要です。訴訟の行方を温かく見守っていただくとともに,一緒に声を上げていただける方が一人でも増えれば,これほど嬉しいことはありません。
みなさま,よろしくお願いいたします。

(弁護士 石川智士)

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